中村先生の部屋ドライマウスの症状

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一般的なドライマウスの症状

  唾液には、潤滑、保湿、消化、浄化、抗菌作用、味覚、傷の修復促進などの役割があります。そのため、唾液が減少すると、以下のような様々な症状がみられるようになります。

  一般的なドライマウスの症状として、「口が渇く」、「水をよく飲みたくなる」、「唾液がネバネバする」、「口が渇いて長時間の会話がしにくい」、「ビスケットやせんべいなどの乾いたものが食べにくい」などの自覚しやすいものがあります。さらに、「舌が痛い」、「舌がザラザラする」、「味がよく分からない」、「入れ歯が合わない」、「食べ物が飲み込みにくい」、「唇が乾いてひび割れる」といった、自分ではドライマウスだと気が付きにくい症状もあります。実際に口腔の診察をしてみると、ドライマウスに特有のう蝕の増加(写真1、2、3)、歯や義歯の汚染、舌や頬粘膜の発赤(写真4)、ツルツルあるいはシワシワになった舌(平滑舌:写真5あるいは溝状舌:写真6)、唇の荒れや痛み(口唇炎:写真7、口角炎:写真8)などがみられることがあります。最近の研究により、これらの合併症の一部は真菌(カビ)の一種であるカンジダの増殖のよることが明らかになっています。

写真1〜8
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シェ−グレン症候群におけるその他の症状

  シェ−グレン症候群の場合には、上述の一般的なドライマウスの症状に加えて、耳下腺(左右の耳の下にある最も大きな唾液腺)の腫脹(写真9)や疼痛を繰り返し生じることがあります。また、進行例では唾液腺組織がほとんど破壊されて、全く唾液が出なくなることもあります。

  表3に示しているように、本症候群では唾液腺以外の外分泌腺も同じように障害を受け、種々の乾燥症状がみられるのが特徴です。涙腺も外分泌腺の代表的なもので、涙腺が障害されることにより涙が減少します。自覚できる症状として、「目の乾き」、「目がコロコロとする(異物感)」、「目が痒い」、「目が疲れやすい」、「目が赤くなる」、「目やに(眼脂)が多い」などがあり(写真10)、これらの症状は乾燥による角結膜上皮の障害により生じます。その他にも多くの外分泌腺があり、汗腺の場合には肌の乾燥を、膣分泌腺の場合には膣内の乾燥や性行為障害を生じます。さらに、鼻腔粘膜、気道粘膜、胃、膵の分泌腺が障害されれば、それぞれ、鼻腔の乾燥や出血を伴う鼻炎、咳や痰の喀出困難を伴う乾燥性上気道炎、消化不良や腹痛を伴う萎縮性胃炎、慢性膵炎などを起こします。

写真9〜10

表3:シェーグレン症候群でみられる外分泌腺障害による乾燥症状

  その他、表4に示しているように、発熱、倦怠感、易疲労感、食欲低下、体重減少、頭痛、関節痛、皮膚の紅斑、レイノー症状(寒冷時に指先が白く変色する)、肺炎、腎炎、肝炎などの多彩な全身症状を起こすことがあり、さらに、高ガンマグロブリン血症や悪性リンパ腫といった血液の疾患が合併することもあります。

表4:シェーグレン症候群でみられるその他の全身症状・病変

  また、他の膠原病が合併することもあります。慢性関節リウマチが代表的な疾患で、その他にも全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、血管炎、混合性結合組織症、慢性甲状腺炎、間質性肺炎、原発性胆汁性肝硬変などが挙げられます。

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